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医療費抑制時代に必須の考え方、業務の効率化と生産性の向上について

2017年11月07日

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医療機関の人手不足は深刻な問題に

 

厚生労働省が今年5月に発表した4月時点での有効求人倍率はバブル期の最高値を超え、43年ぶりの高水準になったとのことです。実際に、医院を経営していても、ここ1年での求人難を実感します。

求人募集を出しても応募が少ない、良い人材が集まらない、給与水準や勤務条件の要望レベルが高くなってきた、すぐに辞めてしまい条件の良いところに移ってしまうなど、多くの医院経営者からも求人に関わる悩みを聞きます。給与水準も上昇してきており、例えば東京都地域での受付職員のパート代は約10年以上950円以内に安定していたのが、2015年あたりから約7〜10%上がり、現在は1100円以上まで達しています。人手不足のままでは、患者の待ち時間は増え、サービスレベルの低下やミスの増加、さらには職員のストレス増加で離職者もまた増えるという悪循環になりかねません。

 

生産性の向上

 

医院における人手不足、人件費アップ、待ち時間対策の三つをまとめて解決する最適な解は、まちがいなく生産性の向上にあります。

「生産性」とは、投入した資源に対して、産出される成果の割合が大きいほど、生産性が高いということになります。医院においての生産性=患者数 x 平均単価 / 労働力導入量(すなわち、スタッフ数)と数値化することが可能です。生産性を単に概念の上に留めるのではなく、実際に数値化することで、日々の生産性の良し悪しを客観的に知るための指標とすることができます。

 

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<効率と生産性の図1>

 

生産性を上げるには、効率化(その日の受診患者数÷勤務スタッフ数)と付加価値の増加(単価の増加)の二つの視点が必要です。

 

効率化のための有効策

 

医院の効率化を上げるための対策として、以下の4つに効果があります:

 

1.自動化

2.適正職員数配置

3.職員のスキルアップ

4.業務効率と待ち時間の指標化

 

1.自動化

 

医院は、接客対応を中心とするサービス業と同様に、労働集約型産業の典型的な例と言えます。一般のサービス産業では自動化がこの数年で急速に進化しています。ICTの普及と進化により自動化で代替できることが増え、また、人件費の上昇もあり、自動化のコストと投資が見合うようになったことが背景にあります。一般のサービス業と比較して、遅れていた医療機関の自動化も、昨今の人手不足とコスト増で、今後普及が予想されます。例えば、小型の自動受付機、予約システム、順番管理システム、自動精算機、問診システムは、現在すでに市販のものもあり、価格的にも費用対効果が十分に見合うものとなっています。

 

2.適正職員数配置

 

患者が少ない日に、多くの職員が出勤するのは、賃金にも無駄が生じます。少ない患者数の日には少ない職員数で対応し、多い患者数の日には相対して多い職員数で対応することが理想です。これを適正職員数配置と呼んでいます。適正職員数配置をするには、事前にその日の患者数を予測する必要があります。ベテランの職員は、季節や曜日、天候などの要素で、今日は何人来院するか?をかなりの精度で言い当てることができます。感覚で予測する以外に、過去の患者数を元に、来院患者数を予測する手法もあります。

 

最も簡単な計算は、昨年の同月の総患者数割る診療日数で、今月の一日あたりの平均患者数として推測することができます。さらに曜日別に患者数の上下がある場合は、曜日別の加減を加えることで精度がさらに上がります。筆者の医院では、2ヵ月先の来院患者数を日ごとに予想し、その予想患者数に応じた必要職員数を割り出し、シフト表を組んでいます。当院の職員業務効率は過去のデータから12.0(1職員当たり12人の患者)が適正であることから、例えば100名の患者が来院する日は8か9名、70名の日は5か6名というように算定します。

 

3.職員のスキルアップ

 

当院では、職員に最低二つの職務を兼務できるようにスキルアップをしています。例えば、看護師は通常の看護師業務以外にメディカルクラークや受付、検査業務、レセプト業務などができるように。受付会計事務であれば、検査補助や診察室内の補助業務、メディカルクラーク業務など。一日の中での時間帯や、または時期によっても、各職務の繁忙期に違いがあるため、マルチ職務対応は効率化するうえでたいへん有効な方法です。また、他(多)職務を知ることで、他職務のたいへんさを知り、チームワークが円滑になり各業務プロセスの連携がスムーズになり、業務全体の効率化向上が得られます。

 

他の職務を覚え、実行してもらうのは、最初は現場の抵抗感もありました。しかし、実行してみると各自の医院業務全体への理解度が高まることで、元々の職務の実行レベルの向上や、さらには本人のやりがい、自己成長感、達成感が得られることが分かりました。忙しい部門をみんなで手伝うことで、診療全体がスムーズになり、結果として残業も少なくなり、みんなが早く帰れるようになりました。

 

職員のスキルアップで、特に大事なことはリーダーの育成であると考えています。オーナー医師が受付会計や検査処置など、診察室以外の業務を個別に観察し対応策を考え、指示は出すということは不可能だからです。よって、指示ではなく育成がカギになります。現場の自律的な、継続的な改善が理想です。

 

4.業務効率と待ち時間の指標化

 

実際に、最も効率化で効果があるのが、業務効率と待ち時間の「見える化」です。多くの医院で業務効率化の意識がなく、実行に移せないのは、日々の具体的数値での指標が無いからです。現状の数値を把握した上で、対策を練り、実行し、そして結果が数値として改善すれば、嬉しいものです。さらに数値を改善させるためには、何が課題かを考え、対策を練り、実行することが望まれます。

 

このように効率化は客観的指標とともに現場の自律的改善意欲が無ければ改善は続きません。経営者に求められるのは、現場に自律性が持てるように、効率化の意義、目標(現状からの数値の改善、当初は例えば10%の改善)を明確にし、数値への強い意識(常にチェックしているという姿勢)、リーダーの育成と継続したこまめな支援が必要となります。

 

当院では、2011年での効率化は9.4であったのが、2015年では12.9(約36%アップ)まで改善しました。また、平均診療報酬は5,967円が6,704円に上昇したため、効率化と合わせて、同期間内での労働生産性は54%改善したことになります。効率化、即ち患者数に対して職員数が少な過ぎると、待ち時間の増加や現場のミスやクレームなどが発生する危険性があります。よって、待ち時間が増加しない範囲で効率化を進めなければなりません。

 

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yang201510.pngAuthor:
楊浩勇 1963年神戸市生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。医師。
現在、医療法人健究社理事長、株式会社メディ・ウェブ代表取締役会長、慶応義塾大学医学部非常勤講師。
 
 

 

 

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