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クリニック経営を変えるデータ活用術(コスト編)

2017年02月06日

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前稿では、「経営の大原則」を示す方程式(患者数×診療報酬平均単価−コスト=利益)のうち、「診療報酬額」に関するデータを読み解く際のポイントについてご紹介させていただきました。今回は、「コスト」に関するデータの読み解き方、そして、各データを元にした改善のポイントについてお伝えいたします。

 

「コスト」に関するデータを読み解く際のポイント

コストについて考える際にまず大切にしたいのが、「コストを削減する」という考え方ではなく、「業務を効率化した結果としてコストを抑える」という視点を持つことかと思います。コストを削減することばかりに目が行ってしまうと、サービスの質や患者満足度の低下にも繋がりかねませんし、サービスの質や患者満足度の低下は患者数に確実にネガティブな影響をもたらします。あくまでも、「よりよい医療をどのように経営的に効率よく提供していくか」という視点で考えていくことが重要でしょう。

 

私自身がクリニック経営、および業務の効率化について考える際にポイントとして捉えているのは、「業務効率(1スタッフあたりの患者の数)」曜日や時間ごとの患者数の波を小さくすること、すなわち、「患者数の平準化」です。

 

ここで言う「業務効率」とは、患者数の合計を同じ期間に勤務した延べスタッフ数で割ったものです。例えば、ある日の患者数が80人でその日勤務したスタッフが10名であれば、その日の業務効率は8人(患者数/スタッフ数)とします。日々の診療の中で患者数と勤務したスタッフの数を記録し、業務効率の推移を追っていきます。

 

一方の「患者数の平準化」は、患者数をクリニックのキャパシティに対して少し余裕のある状態で、できるだけ一定に保つことです。患者数の平準化によって、患者数の増加を促す効果も期待できますが、それ以上に、診療が効率化されてよりスムーズになり、また、患者さんやスタッフのストレスを低減することができます。

 

※「患者数の平準化」については、こちらの記事で解説していますのでぜひお読みください。

 

「業務効率(1スタッフあたりの平均患者数)」を向上させる

業務効率を改善するための第一歩は、現在の業務効率を把握し、データを蓄積していくことです。スマイル眼科クリニック(横浜市青葉区青葉台)では、診療業務支援ソフト(PMS)の3Beesを導入する等本格的な改善に着手する前の2009年の時点では、業務効率は9.3人でした。しかし、様々な改善策を行うことで、2014年には14.5人にまで改善しました(図2)。ここで併せて確認していただきたいのは、患者さんの平均滞在時間の変化です。スタッフの数をいたずらに減らして待ち時間が長くなってしまうと患者満足度が下がってしまいますので、業務効率だけでなく、患者さんの待ち時間や滞在時間を見える化しておくこともポイントと言えるでしょう。

 

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 (図2:スマイル眼科の業務効率の推移)            

 

当院が行なってきた業務効率向上のための基本的な取り組みとしてあげられるのは、過去の実績をもとにした患者数の予測図3)です。過去の患者数の実績から各月、各週、各曜日の傾向を割り出し、予想される患者数を元に適正なスタッフ数を算出して配置するようにしてきました。その上で、患者数の平準化等様々な取り組みを行い、上図のように業務効率を改善することができました。

 

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(図3:2016年2月のスマイル眼科の診療計画/スマイル眼科のBeeコンパス画面より)

 

「患者数の平準化」を促す

患者数の平準化を進めていく上での具体的なポイントにつきましては、先ほどもご紹介しましたこちらの記事でお話しさせていただいていますのでご一読いただくとして、ここでは早速、スマイル眼科の事例をご紹介していきましょう。

 

スマイル眼科で患者数の平準化を進める上で行なったカギとなる施策は、「休診日をなくす」ことでした。下記のグラフ(図4)をご覧ください。水曜日を休診日に設定していた2010年と昨年2015年の曜日別平均患者数の比較です。

 

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(図4:スマイル眼科における2010年と2015年の曜日別平均患者数の比較/スマイル眼科のBeeコンパス画面より)

 

クリニックを週に6日稼働しても7日間フルに稼働しても、コストである家賃や医療機器の費用等に変わりはありません。また、診察日が増えることは患者さんにとってもアクセスが高まり好ましいことだと考えました。そこで、新たに非常勤の医師やスタッフに来ていただき水曜日も診療を行うようにしました。加えて、予約や次回受診目安票、院内の掲示板、ホームページ上での混雑状況の表示等を通じて患者さんを水曜日に誘導していきました。結果的に、患者数が多かった他の曜日から水曜日に患者さんが回ってくださり、他の曜日も安定した形でスムーズな診療を行うことができるようになりました。

 

おわりに

さて、3回に渡って、クリニック経営にデータを活かすポイントを、特に、「経営の大原則」を示す方程式(患者数×診療報酬平均単価−コスト=利益)の重要な要素である「患者数」「診療報酬額」「コスト」に焦点を当ててご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

忙しい日々の診療の合間にこうしたデータを集めて分析するのは、難しいのが現実かもしれません。しかし、これまで見てきたように、データの集積と見える化は、クリニックの経営と業務の継続的な改善の、いわば基礎となる大変重要なものです。

 

スマイル眼科では、株式会社メディ・ウェブが提供しているクリニック経営分析ソフト「Beeコンパスを用い、毎日の診療後に受付スタッフが3-5分で業務データを入力し、また、月次でレセプトデータをアップロードして分析を行なっています。

 

ぜひ先生方にもご紹介しました手法をお試しいただき、データの力でクリニックの経営基盤の強化に繋げていただければと思います。

 

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yang201510.pngAuthor:
楊浩勇 1963年神戸市生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。医師。
現在、医療法人健究社理事長、株式会社メディ・ウェブ代表取締役会長、慶応義塾大学医学部非常勤講師。
 
 

 

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